夫婦そろって二人三脚。農業にかける夢
「ぐるりとつながる自然と一緒に、人も未来も育っています」
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外国人とも、食べ物を通じて会話ができる
吉村義彦さんが本格的に農業を始めたのはJAを定年してからだ。近所にラムサール条約に登録された三方五湖があり、環境問題に関心を持っていたことから、「自分にできることは孫たちの世代にまで、環境に優しい農業を残していくことだ」と考えた。保育士を定年した妻と相談し、子どもたちのアトピーや食の問題に貢献すべく、有機農業と食育を通じた地域の自然再生を目指している。
視察に来たアフリカの方に、「環境を守るため私たちの使命はここにある」という図説を苦労しながら英語で解説したとき、「外国人も日本人も、食べ物を通じれば会話ができる」と気づいた。英語は片言でも作った料理を食べてもらえれば、言葉以上にわかってもらえると感じたのだ。
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生き物いっぱいの田んぼで子どもがはしゃぐ田舎の眺め
食に感心を持ってもらうのに一番効果的なのは、収穫の喜びを感じてもらうことです。子どもたちに畑のにんじんを抜いてもらい、洗って食べさせると、嫌いだった子でも、「おいしい」と好きになることが多いんです。子どもたちは鴨の雛のぬくもりから命の尊さを学びます。卵からひなが孵化する瞬間に感じ入るものもあると思います。田んぼは個人の所有物ですが、自分だけのものではないんです。みんなで植えたり草を刈ったり、みんなの宝物です。そういうことを通して田舎を応援していただきたいです。私たちのお米を買って食べていただけば、何よりの応援になります。「この二人が作ったお米なんだな」とわかってもらえるのが一番の生きがいです。