この限界集落で、穏やかに強く生きる
人と繋がる、ってしんどいことも多い。でも、一人で仕事するのは、どんなに儲かってもどこか寂しい
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幸せの価値観をみんなで考え直す時代
農家ではなかった父が切り開いた、自然あふれる柑橘畑。生協のドライバーだった父は、農薬を使わない栽培にこだわったという。今では大変な感謝の念があるが、子供の頃は父の仕事を決して快くは思っていなかったと、能勢賢太郎さんは話す。
「大人になって、うちの親父結構すごいことやってたんだな、と再認識しました。実際やってみたらすごいしんどいです」能勢さんは父の思いを継ぎ、同じ栽培方法で取り組んでいるが、それ以外の農法を否定するわけではないという。「みんなでこの島で生活をするというのが僕の理想です。お互いの価値観を認めあって生きていく。肩を寄せ合って生きていく方法を、みんなで考えたいんです」と語る。
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一番大事なことに取り組むための手段が農業だった
色々言いあいながら、お客さんとコミュニケーションすることがすごく幸せですね。ネットで普通に販売しているだけなのに「今シーズンお疲れ様でした」とケーキが届いたりとか、手編みのニットが届いたり。子どもが生まれたときに銀のスプーンを贈っていただいたこともあります。こんな嬉しいことはないなって思います。お客さん=親友みたいな形でやれる方が幸せですよね。それってお金では買えない人間関係です。関わる人全てが友達みたいな感覚になれればなと。言うのは簡単で、人の数だけトラブルもあるんですが、それを乗り越えていくっていうのはいいことだなと感じています。