一日一日を積み重ね、向き合い続けるということ
「農家と消費者ではなく、人と人。そう教わったんです」
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生産の現場が見えない。だから、自分で作る。
埼玉県から石川県能登半島、輪島への移住。都会で勤めていた食品販売会社を辞めたのち新規就農したものの、2年目には収穫量が大激減。自身を襲う筆舌に尽くしがたい出来事を、新井寛さんはむしろ語り続けた。ブログ・HPを通して自分とその作物について発信し続けることで、現実をまわりに知ってもらう。「生産の現場を知らずに安心や安全を伝えることができるだろうか?」と苦悩した営業マン時代と決別した彼は、発信を続けることで縁もゆかりもなかった土地で人々を巻き込み、渦を作り、そしてお米を売っていった。お米が2日で完売するほどになった今も、伝え続ける彼の信念とは。
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一年一年食べていくのが大変、それでもこの地でやり続ける
私は無肥料・無農薬でお米を育てていますので、収穫量が毎年安定しません。就農から8年経って、ようやく基本的なことがわかってきたと感じているぐらいです。田んぼは全部貸していただいている立場なので、地域の人に受け入れていただくことができて、地域全体から大事にしていただいているのが本当にありがたいです。
私のHPには「お米を自分で作ってみて下さい」というようなことを書いているのですが、私のお米を食べて、本当に自分でお米づくりを始めた方もいます。私は師匠に「農家と消費者ではない。人と人なんだ」と、その間に垣根はないのだいうことを教えてもらいました。いろんな縁をつないで仲間が増えればいいなと思っています。