300年続く米農家の息子として実家に戻るということ
「一人一人にかかりつけ農家がいたら、いいなと思うんですよね」
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心の距離が近い人とのつながりが、大切
農業で生計を立てるのは無理だろう、そう思い大野さんは都市での就職を選んだ。結果、東京でIT企業の役員にまでなった大野さん。東日本大震災のあと、食べ物の大切さにあらためて気づいたのを機に、原点である奈良に帰ろうと決めた。
田畑は奈良市街地にある。作物はご近所や友人知人を中心に販売し、農業以外の仕事として定期的に東京の会社とオンライン会議も行う。「自分をきっかけに、農家の息子が実家にもどるようなことがあれば嬉しいですね。こういったかたちの自営業が成立するんだということを証明したいと思っています」
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父の代から続く、田植え体験を継続
20年前に父が小学生向けの田植え体験イベントを始めました。地元の方達に手伝っていただいて、今では定着して学校の授業として行っています。
今は都市と農村地域が離れているので、そこを近くに戻して「食べ物は近くの人が作ってくれているんだ」という感覚が戻ったらいいなと。子どもたちも身近な感覚があると食べものを大事にしますので、自然と残さなくなると思います。
顔がわかる人の作った米や野菜は「どこかの製品」ではなくて、人の作った、生み出されたものに変わります。それって大きいのかなと思いますね。今は小学生だけじゃなく誰でも参加できる田植え体験も毎年やっていて、東京や神戸から来る人もいらっしゃいます。